知らない場所を歩く

私は、知らない場所を歩くのが好きだ。
人の少ない所を歩くのが好きだ。
夜、仕事帰りに歩くことが多い。

今日も知っている道から、
曲がったことが無い交差点を曲がり
初めての道を歩いてみた。

暗くて細い道。
歩く人は、反対方向に進む人が一人。
すれ違った後は、もう一人きり。

道の先が暗くて細くて、登り坂になっているので、
やや新しい家の手前を左に曲がる。
隣は、古くて暗い家。窓に蛍光灯の明かりが見える。
道の先にまぶしい明かり、ガソリンスタンドが見える。
道は、暗い。左側は、草原で風に草がそよいでいる。
虫の鳴き声が聞こえる。
右側は、田んぼになった。
ガソリンスタンドのオレンジ色の明かりに育った稲が整然と並び、
その長い葉を揺らしている。
蛙が鳴いている。
彼らは夜行性なのだろうか?

ガソリンスタンドの脇から、太い道路にでた。
車は、何台か見えるが、歩行者はいない。
遠くには、コンビニの看板が光っている。
逆方向は、山に登っていく坂道。
坂道の下りきった所に、横断歩道がある。
道の反対側は、家がまばらで水田か畑が広がっている様だ。

地図を見るとその向こうには、川が流れていて、
橋を越えた所に私鉄の線路があり、右手方向に駅があるのが分かった。

今日は、そこから、電車に乗る事にしよう。
私は、横断歩道に向かってまた、
歩き始めた。