レコードのかかる喫茶店

夏の日差しの降り注ぐ通りから、灯りの消えている店内に入った。

ゆったりとした英語の歌詞の古い曲が、ながれている。
人が演奏し、人が歌っている音楽だ。
知らない曲だが、なんだか懐かしい気持ちになる。

目が暗さになれると、店内の様子が見えてくる。
テーブル席、ソファー席、大きなスピーカ。
壁沿いにならぶ木製の箱にはアナログレコードが詰まっている。

若い女性店員が、2人。奥の小さな調理場にいる。
案内されて、アナログレコードとは反対の壁沿いのソファー席にすわる。

出された水の氷が大きくて、透明だった。
水が美味しい。

暑かったので、アイスコーヒを頼む。
ドリップしているのか、サイフォンなのか、見なかったけど、
しばらくしてとどいたグラス入りのそれにも大きい氷が入っていた。

コーヒはさほど冷たくなく、甘く濃厚な香りがした。
それでいて雑味がなく、澄んださっぱりとした後味。
夏を感じる味であった。

大きなスピーカーからは海風を感じる曲が聞こえてくる。
通りの窓から、日差しの照り返しが、店内まで届いている。
ゆったりとした時間が漂っていた。